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「…………ふぅ」
車の影が見えなくなると、俺こと「菅原 晶太」は小さく溜め息をついた。
今日、俺の家族が妹が懸賞で当てた世界一周旅行へと
"俺一人置いて"
旅立ってしまったからでもあるが。あんな事を言っておきながら3ヶ月もの間一人で暮らしていけるのか不安だからだ。
正直に言わせて貰えば、俺は家事が全く出来ない。
掃除に洗濯、料理なんて全て母さんと妹の愛に頼りっぱなしだった。
そんな俺がこの先3ヶ月を無事に過ごせるのかと問われたら、答えは"NO"。
一寸先は闇。と言う訳だ。
俺も一緒に行けばいいじゃないか
と誰しもが思うだろうが、それも無理な話。
旅行の定員人数は三名までで、仕事の忙しい両親と、その両親にあまり甘える事が出来なかった2つ下の妹がいるのだ。
長男として、一人の兄として、俺には譲るしか選択肢は無かった。
そして、今の俺がやるべき事はというと。
「さてと……。家事、覚えるか」
そう。本を読みながら最低限の家事を覚える事だ。
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