第一章 彼女

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もう一度声をかけてみるか。 「おーい。もしもーし」 「………………きっ」 「き?」 キモイ? あ、でもなんか嫌な予感……。 「キャァァァァァァァッ!?」 「うおわっ!?」 予感的中。 あ~耳痛い………ま、退いてくれたから良しとするか。 「な、な、何なのあなた!?どうして私の下にいたのよ!?」 「あ~……まぁ落ち着いてくれ」 先程までの落ち着きはどこへやら。取り乱して顔を真っ赤にさせながら怒鳴りつけてきた。 まぁ、女性だったら普通の反応だよな。 俺、ブサ男だから尚更。 「とにかく、話を聴いてくれ。俺が分かりうる状況を説明する」 「え、ええ……」 やれやれ、やっと落ち着いた。まだ赤いけど。 いや、むしろ落ち着いている俺の方が変なのか? 「まずは自己紹介といこうか。俺は菅原晶太、晶太が名前な。好きに呼んでくれて構わない。よろしく頼む」 「わ、私は、ローレライ教団神託の盾騎士団、モース大詠師麾下情報部、第一小隊所属、ティア・グランツ響長よ。よろしくお願いするわ」 おーおー、長々とまぁスラスラと言えるもんだな。 でも、これではっきりした。 彼女は、本当にジアビスの世界から来たんだ。 俺の一番逢いたかったティア・グランツが、この世界に。 いや、ホント。綺麗なものだな……
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