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「絶対うそだ!!司じゃないじゃん!!」
そういう私に顔を近づけた、司と名乗るロン毛男が更に言った。
「俺、司だって~。」
「理乃ちゃん、忘れたん? 酷いなぁ~。」
段々とイライラしてきた私は司の特徴と不一致な点を指摘し始めた。
「髪の毛どうして黒いん?」
「だって学校うるさいから、黒染めしたんだよ。」
「どうして?司は生まれつき茶髪じゃん?」
男は髪の毛を触りながら苦笑いをしていた。
「うちの学校はそんなに厳しくなかったと思うけど~!?」
現に私は少し茶髪だった。
それでもなお嘘を突き通そうとするので、
「ってか、司には泣きボクロなんて無かったし。」
両目に大きな泣きボクロが印象的だった。
「元々あったじゃん!!」
まだ嘘をつくのかと腹が立っている私を見て、しん君が爆笑しながら嘘を認めた。
「ごめん。理乃ちゃん。面白くてつい…。」
「ごめんじゃないしッッ!!」
「本当にごめん。こいつは田上って言うんよ。」
少し拗ねた私に目の前で笑いながら自己紹介をしてきた。
「ごめん。俺は裕一。宜しく」
「いいよ。田上裕一君かぁ~。じゃぁ何て呼ぼうか?」
「何でもいいよ。お好きにどーぞ。」
「ん~。ユウイチだから、ゆうチャンかな。」
「いいよ~。」
「じゃぁ、ゆうチャンね。」
キモイし嘘つくし、何だこいつは?
これが彼の第一印象でした。
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