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(まずは、下っ端共に命令してる盗賊の頭っぽい奴をやるか)
盗賊の頭は部下から少し離れた場所で指示を出している。司令塔さえ落とせば、所詮は烏合の衆、すぐにパニックになるだろうな。
そう思いながら、盗賊の頭の頭にスコープの十字線の真ん中に捉える。推定距離はだいたい200mか。風はほぼ無風。絶好の狙撃日和だ。
“プシュ”
早速、一発目を撃つ。撃った弾丸は、盗賊の頭の側頭部に命中。命中した頭は、1秒もたたずに倒れた。凄い即効性の麻酔だな。
「まず一人目」
直ぐさまボルトハンドルを後ろに引くと、薬莢が排出され、ボルトを戻すと次弾が装填される。次は、頭が倒れた事に気付いて駆け寄る部下を狙撃し命中させ、倒す。そして、動きの止まっている奴を片っ端から狙撃する。
(2、3、4、5)
“カチッ”
弾切れになるが、麻酔弾を形成しリロードする。
(さてと、盗賊の方々はどうなってるかな?)
スコープ越しで確認すると、司令塔である頭が倒され、さらに、その周りにいた連中も倒れたためパニックに陥っているな。すると、護衛連中が押し返し始めた。
「おっ!護衛連中も押し返し始めたな。そんじゃ、駄目押しすっか」
“プシュ、カチカチャ、プシュ”
撃った後、1秒間隔でボルトの引き戻しを繰り返し、盗賊達を狙撃し、眠らせた。残った奴らはたまらず逃げ出していった。
「逃げたか。ま、それで良しとして、ミリーナ、何で撃たなかったの?」
「.....私が狙らおうとした人を凶夜さんが全部撃ったんです」
あらま。獲物横取りしちまったのか。
「ゴメンな」
「いいですよ。素人の私じゃちゃんと当たるわけないですから」
「ま、練習すればマシになるだろうな。さて、こっからさっさと移動するぞ」
「え?向こうに行かないんですか?」
「だって、そこまで義理立てする理由がないし、俺達には関係ないことだ。それに、俺達が行かなくても自力で動くだろうしな」
「でも、あの馬車、車輪が壊れてますよ」
「え、マジで?」
再度、スコープ越しで馬車を見ると、確かに片方の車輪が壊れてた。しかも、護衛連中も立ち往生してしまっていた。
「....ハァ、仕方ない。あいつらの所に行くか」
「はい!(凶夜さんって、怖そうだけど案外優しい人ですね)」
随分と丸くなったもんだな俺は。
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