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私が気になったのは、何故、急に盗賊共が倒れたのかだ。
盗賊のリーダーに近付くと、
「......zzz」
いびきが聞こえてきた。眠っているのか?
リーダーをよく見ると、リーダーの頭に何かが刺さっていた。それを引っこ抜いてみるが、それは円錐になっており、先端が尖った物だった。
「何だこれ?」
近付けてみると、嗅いだ事のある臭いがした。
(成る程...、これは強力な睡眠薬が塗られた物だな)
しかし、一体何処から?それに、これは盗賊“しか”刺さってない。つまり、これを放った者は私達を助けてくれたことになる。
そう思っていた時だった。
「...うん?隊長、何かこっちに誰か近付いてます」
姫様の治療を終えた新米の一人が後方を指差していた。その方向を見ると、確かに二人組の女がこちらに近付いて来た。
「...とりあえず警戒しておけ」
「了解」
部下にそう伝えておき、再度、二人組を見る。一人は、黒髪・黒眼というこの国では見ない目と髪の色をしており、服は見た事がない服だ。目は少し吊り上がり気味で、かなりの美女だ。もう一人は獣の耳を見るからに、獣人だろう。
その一人の黒髪・黒眼の女が私に近付いて来た。
「あんたが、この馬車の護衛隊長か?」
「あぁ、そうだが」
「危なかったな、あんたら」
「....!?...まさか、貴方がこれを?」
私はさっき、盗賊のリーダーから抜き取った物を見せた。
「お、麻酔弾。ちゃんと刺さってたんだな」
「では、やはり、貴女がこれを」
「ご明答」
どうやら敵ではない様だな。私は警戒を解く事にした。
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