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しばらく走っていくと、暗闇の海に何かが浮かび上がる。
「‥小屋だっ!」
男は自分が追われているということも忘れ、声をあげる。
そして、ジャケットにある胸ポケットから一枚の写真を取り出した。
少し汚れた写真には6歳くらいの女の子が笑顔で母親らしき女性と食事をしているとこだった。
背景から察するにピクニック中かもしれない。
「‥もうすぐ帰るからな」
一筋の涙を流して誓うように呟いた。
そして小屋へと向かおうて一歩足を進めようとする。
そのときだった。
進行を遮るように
肩を思い切り引っ張られてしまう。
呆気なかった。
紙屑のように倒れこみ、視界は夜空へと
「‥月だ」
月と重なったように人顔のようなものが重なっていた。
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