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「状況確認
マスターの安全を最優先します」
その言葉と共に物凄い速さで黒スーツの男の懐に入った。
「…!?」
黒スーツの男は当然ながら反応出来ていなかった。
そこからの展開は目まぐるしかった。
ミクが腕を極め、銃を落としそのまま地面に男を叩きつける。
男はもうビクともしなかった。
銃は弾を捨て、近くの花壇に埋めた。
「マスター大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…」
普通ならその言葉は嬉しいのだが、俺はあまり嬉しくなかった。
ミクの顔に表情が無かったのだ。
まさに無表情。
買い物していた時とは全然違っていた。
俺は嫌だった。
ミクの笑顔はあんな可愛いのに。
それが見れないのはとてつもなく嫌だった。
他から見れば、こんな機械もどき相手に何を思ってるんだか、とかと見られるかもしれない。
でもミクには感情があるのだ。
楽しければ楽しいと感じるし、悲しいと思えば悲しいと感じるのだ。
キスをする前、ミクは心から微笑んで「良かった」と言ってくれた。
理由、理屈なんていらない。
俺は素のままの、笑顔のミクが好きなんだ。
誰がなんと言おうと、この気持ちは揺らがない。
だから表情が無いのなんて嫌だった。
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