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「ミク…
なんで表情を殺しているんだ?」
「感情及び表情は不必要とみなし、ブロックしました」
そんなこと言わないでくれよ…
何も言わず、俺はミクを抱き締めてしまった。
何故か俺は涙を流していた。
…俺はこんなにもミクが好きなのか…
まだ出会って間も無いのにな…
「マス…ター…?」
「この際、はっきり言うよ…
俺はミクの笑顔が凄く好きなんだ…」
「ネギを食べてる時のも、買い物をしていた時のも…
全部好きなんだ…」
「だから元に戻ってくれ…」
この時の俺はかなり力を込めていただろうな。
「…分かりました」
そっとミクを離す。
「すみませんでした」
申し訳なさそうな顔をして、そんなことを言っていた。
「…え?」
「私はマスターの気持ちを汲み取らずにこんなこと…」
「い…いや、良いんだ!
俺は大丈夫だから!」
「取り合えず部屋に戻ろ?」
「はい…」
…─
…──
…───
俺は過去にこんなにも好きという感情を持ったことがあっただろうか?
アニメのキャラが好き、この女優が好き。
その好きとはもっと違った、凄くドキドキするような好きは初めてだ。
今までの俺は、誰かに涙を流すなんて考えられなかった。
…俺は本当にミクが好きなんだろうか?
自分の過去を省みて、そんなことを感じてしまった。
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