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「あれ?優斗くん?
何してるの?」
「あ、兄さん…」
兄さんとはアイスクリーム好きの俺の兄貴的存在だ。
ここに来てから初めて知り合った人でもある。
「…また悩んでるみたいだね」
「うん…」
俺は今までのことをすべて話した。
…───
「そっか…」
何故かその時の兄さんの顔は悲しみと驚きが入り交じったような表情をしていた。
「これから言うことは1つの意見として聞いてほしい」
「…うん」
「僕はこんなことで君に命を落としてほしくない。
今、この状況を投げ出して逃げても良いと思う」
「それでも、命を落とすかもしれない状況であってもミクと一緒に居たいと思うのならば覚悟を決めて」
いつもアイスクリームばっか食ってる兄さんの意見とは思えない。
俺は…
「俺は、悔しい。
自分の利害の為にミクを投げ出すなんて嫌だ」
俺は誰かの為に努力したことなんて無かったんだ。
「…本当に良いんだね?」
「うん」
「そか、君の決めたことなら僕は何も言わないよ」
兄さんがニコリと笑う
「でも死んじゃダメだよ」
「…頑張るよ」
そんな覚悟を決めた。
カッコつけなんかじゃない。
ミクの為に、誰かの為に頑張ってみたいって心の底から初めて思えたんだ。
だから俺はやってやるんだ。
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