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*番外編―紅と狼龍―
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バキっ
「…ぐはぁッ」
真夜中の賑やかな街には相応しくない音。
「お、お前…ぐ、女の癖に」
バキっ
「…女だから何だ。女を下に見るのはお前ら男の悪い癖だ」
バキっ
「…うっ…やめて、くれ」
「…」
「こ、コイツ普通じゃねぇよ…!!」
「やめねぇか」
次の拳を振り上げた瞬間誰かの声に邪魔された。
「…誰だ」
「この街に暮らしてて俺を知らねぇとは大したもんだ」
声の主が月明かりに照らされる。
「俺は名前を捨てた。狼龍と覚えてくれればいい」
「何か用か」
狼龍を睨む
「お前、名前は」
「…鬼塚…、紅」
この時なぜ素直に名前を言ったのか今だに分からないけどこれが私とオヤジの出会いだった。
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