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その日は朝から騒がしかった。
その理由は、年に数回しか行われない祭りが数日後に迫ってのことだった。
祭りといえば、騒ぎ酒が呑めると幻想郷全体が、人も妖怪も関係なしに、歓喜にわいていた。
そんな人里のお祭りの会場の前で、その少女は立っていた。
「それにしても、今年はかなり特殊な祭りね」
金髪で肌の薄い、一見して人形のような少女、アリス・マーガトロイドは、誰に言うわけでもなく静かに呟いた。
呟いた先には、いくつもの種類のウェディングドレスが並べられていた。
この祭りは、女性の憧れである結婚式をテーマにした祭りのようだ。
当日、この純白のドレスは、選ばれた乙女たちが着ることとなっていた。
「……でも、少し憧れるな」
「何に、憧れるんだ?」
ウェディングドレスに釘付けだったアリスは後ろから近づいてきた、黒い帽子の魔法使いに気づいていなかった。
だからか、その少女にいきなり話しかけられて、アリスは盛大に驚いた。
「ま、魔理沙!?」
「オッス! アリス」
ウェーブのかかった金髪に尖った黒い帽子。黒の服に白いエプロンを着けた、霧雨魔理沙は悪びれもなく、ニコッと笑っていた。
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