第零章~純白な乙女の儚き憂鬱

3/5
前へ
/320ページ
次へ
「んで、何に憧れるんだ?」 ニカッと笑った純粋な笑みで、アリスに迫る。 魔理沙本人には全く悪気はないのだろうが、アリスは、魔理沙の顔が近づくにつれ少し顔を赤くして俯いた。 「べ、別にいいでしょ……」 幸せな花嫁に憧れるなんて、恥ずかしくて誰にも言いたくなかったからだ。 しかし、鈍感な魔理沙も、並べられたウェディングドレスを見て、ようやく気づいたのか、口元がニヤニヤし出した。 「な、なによ」 「お前がそんな人間みたいなモンに憧れるなんてな」 ニヤニヤ笑いながら、魔理沙は確かに的を得たことを言っている。 魔法使いが、人間のような関係に憧れるなんて、可笑しい、と。 「わ、私だって、元は人間なんだからね!」 「そういやそうだったな」 根本的な部分で、アリスはまだ魔法使いになりきれていない。 他の妖怪たちのように、人間を襲ったりはしないし……。 「それで、祭りにエントリーしたのか?」 「は? なんでよ?」 「だってお前、花嫁に憧れるんなら出るべき……」 と、言った所で、魔理沙はあることを思い出した。 そんな魔理沙を見て、急に会話が途切れたアリスは不思議に首を傾げた。 「そっか。そうだったな、悪い」 「な、何よ?」 急に謝りだす魔理沙を見て、アリスは奇妙がる。
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加