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「わ、私にだって……」
しかし、
アリスは、数秒後に冷静さを取り戻した。
それと共に、怒りも羞恥も迫力もどこかへ消えてしまった。
いないから――
人と、妖怪と、それ以外の生き物と、アリスは深く関わろうとしない。
だから、相手とかじゃなく、親友すらアリスには遠かった。
「…………」
「ん? どうした、アリス?」
先ほどまでのやりとりから一転した空気を感じ取った魔理沙は、不思議がって、首を傾げる。
アリスは目の前の、魔理沙を見て、クスッと笑んで、彼女に背を向けた。
「帰る……」
アリスは思っていた。
魔理沙ですら、自分は本当に心を許せていない。
親友と呼ぶにはあまりに遠い距離でしか話せない。
だから、
だから、アリスは願っていた。
自分の心を素直に伝えられる、そんな相手の出現を。
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