幸村と十勇士

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「っつーか、お前ら俺が今謹慎扱いなの分かってんのか?山から出ちゃいけねえんだよ!」 「でも昌幸様は九度山を抜け出してしょっちゅう九州へ赴いてらっしゃいますよ。なんでも、島津様とは旧知の中だとか」 「バカ小介!父上のそれは見習っちゃいけない例だ。徳川にバレたら宇宙まで飛ぶぜ?首が」 殿のお父上の昌幸様も、殿と一緒にこの九度山のどこかに謹慎処分されているはずなのに……あの人は“謹慎処分”という言葉の意味を知らないのか、しょっちゅう遊びに山から出ていってるらしい。 「でも昌幸様に比べたら、幸村が村に下りるなんてかわいいもんじゃん」 鎌之助さんはまだ豚を諦めきれないのか、殿に言う。 「かわいいかわいくないの問題じゃなくて、俺も父上も命と引き換えに「鎌之助ぇー、豚取ってきたぞぉー」邪魔すんな望月空気読め!!!!」 望月六郎(もちづきろくろう)さんが、手足を縄で縛った豚を担いで庭にやって来た。 「おぉっ!ナイスもっちー!炊事場に運んでくれ」 「りょーかい!」 鎌之助さんともっちーは炊事場へ向かった。 今日の夕飯は豚汁なのかな? 鎌之助さんの料理はなんでも美味しいから、僕もみんなも毎日楽しみにしてるんだ。 「いいか、全員に言うからな!今後、動物をけしかけての修行は禁止だ!!死ぬ!!」 「動物は人に食べられるために生きてるんですから、死んでも構いませんよ、幸村様」 海野さんが言う。 「死ぬのは動物じゃなくて俺ぇぇぇえ!!!!!」 殿の涙の一撃が決まった。 こんな感じで、殿と僕たちは毎日楽しくすごしてます!
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