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「落ち着いてくださいませ、幸村様。おやつのお饅頭でございます」
「うむ」
殿は影武者の穴山小介(あなやまこすけ)さんから黒糖饅頭をもらうと大人しくなった。
立ったままマリマリとお饅頭を食べながら、花札に興じる佐助さんと才蔵さんを睨む殿。
……でもかわいいからあんまり怖くない。
「佐助!才蔵!なんだよあのカラスの大群は!?丸腰のヤツが対処できるわけねえだろ!?」
「俺はできる」
「俺も」
「お前らは特別なんだよ!!!特別なの!!!忍だから!!!アイアム人間!!!」
「オーイエスイエス」
佐助さんは殿を見もせずに答えた。
……大物だよなぁ、佐助さんって。
「アンタたち、また動物使って幸村様に無茶な修行させたの?」
呆れてため息をついたのは海野六郎(うんのろくろう)さん。
六郎って名前だけど、れっきとした女の人だ。
「海野、聞けよ!!コイツら俺を木のめっちゃ高いとこにクナイではりつけにしてカラスの大群に襲わせたんだ!!手足の自由が全くきかねえ状態でそこから抜け出してくるのが今回の修行だとか言いやがって、自分らはさっさと帰っちまってよ!!明らか職務放棄だよな!!?いい加減こんなんばっかだともう俺グレんぞ!!?」
殿は目に涙をいっぱいに浮かべて海野さんに訴えていた。
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