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「幸村様、書状が届いております」
「んー?誰からだ?」
縁側で日向ぼっこをしながらぽりぽりと豆を食べていた幸村が、背後に膝をついた小介を振り返る。
「奥州の伊達政宗様からでございます」
「ブッッッッ!!!!」
幸村は思わず豆を吹き出した。
「伊達政宗ぇ!!?あのバカが俺に何の用だっつの……」
幸村は書状を開いた。
ゆきむらくんへ!
こんどあそびにいくね!
どうちゅうおいしいものをたくさんかっていきます!
たのしみにしててね!
まさむねより!
「相変わらず平仮名しかねえ……アイツぜってー漢字知らねえよな」
幸村は書状を畳むと小介に渡した。
「もてなしはどう致しましょう」
「何もしなくていい。政宗なんかのために貴重な食料を無駄にしたくねえし」
「左様でございますか。ならば勇士たちにもその旨を伝えて参ります」
「ん」
幸村はまた豆をぽりぽり食べ始めた。
*****
「話は聞いたぞ、幸村」
「う……やな予感……」
しばらくすると、豆を食べていた幸村の元に佐助がやって来た。
佐助は腕を組んでイジワルそうにニヤッと笑い、幸村を見下ろす。
「伊達政宗が来るそうじゃねえか?今のところお前ら2人の勝敗はお前が23勝、伊達が26勝、引き分け5回でお前が負けてる。今回は勝ってもらうからな」
「や、やだ」
「はァ?」
佐助の眉間にカッとシワが寄る。
「ごめんなんでもない」
幸村はひきつった笑みを浮かべた。
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