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「あうぅ~……誰かぁ~……」
か細い声で泣きながら誰かに助けを求める幸村のことなど全く気にせず、佐助は幸村の首根っこを掴んで屋敷の中を引きずっていた。
「わぁ、殿、どうなさったんですか?」
「またさすけさんを怒らせたんですか?」
「何でだよ!!俺が佐助に引きずられてたら佐助を怒らせたことになんのかよ!!」
清雲と涼雲が好奇の眼差しで幸村を見ていた。
「っつかお前ら!!見てねえで助けろ!!このままじゃ俺は佐助に殺される!!!」
「別に殺しはしねえよ。軽くなぶるだけだ」
「イヤァァァァアアア!!!!!」
幸村は涙を流して全力でバタバタ暴れたが、体が小さいため佐助には全く効果がなかった。
「俺は修行すんなら小介か海野とがいい!!」
「なんで」
「だって優しいから」
「俺だって優しいだろ」
「は?何言ってんのお前」
「…………」
「いだだだだ!!!!髪の毛引っ張んないで!!!ハゲる!!!」
問答無用で幸村の髪をわしづかみにした佐助に、幸村は懇願する。
「ごめん、ごめんって!!」
「……ふん」
髪を解放してもらった幸村は、廊下にうずくまって頭を撫でた。
「ハゲてねえ?なぁ、ハゲてねえかなコレ」
「ハゲてねえハゲてねえ。修行始めんぞ。竹刀持ってこい」
気づけばそこは玄関で、佐助は腕を組んで幸村を見ていた。
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