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幸村はむぅ、っとむくれると、仕方なく自分の部屋に竹刀を取りにいった。
激しい修行で幾度となくポッキリいってしまう竹刀は、いつも甚八がその辺に生えてる木から切り出して作ってくれるお手製だ。
竹刀を持った幸村が玄関に戻ると、そこに佐助の姿はなかった。
「? 佐助ぇー」
幸村は玄関から外に出た。
「あー、危ねえぞ」
「え?ぐぉぶ!!!!!」
幸村の上に何か重いものが降ってきた。
「だから言ったのに」
「さ、さすけ……っ!てめえ……!」
空から降ってきた佐助の下敷きになった幸村は、地面にぶつけた鼻が痛くてたまらなかった。
「わざとだろ!!?むしろわざとだろ!!?ピンポイントで俺の真上狙いやがって!!!」
「偶然だろ。それより、オラ。今日の修行相手だ」
「…………」
「フゴッフゴフゴッ!!!」
佐助が無表情で脇に抱えていたのは実に猛々しいオスのイノシシで、めちゃくちゃ怒っているのか、暴れまくっている。
「あの、佐助さん」
「あ?」
「俺の修行相手に動物使うなっつったじゃねえか!!!!!!」
佐助はけろっとしてわざとらしく肩をすくめる。
「時として動物は人間より高い運動能力を誇る。そんな動物の攻撃をいなし、打ち返すうちに、自然とこちらの能力は上がるんだ」
「なるほど……」
「鎌之助ぇー今日の夕飯はシシ鍋なー」
はいよー、と、どこからか鎌之助の返事が聞こえた。
「…………てめえがシシ鍋食いてえだけじゃねえか!!!!!!」
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