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「いゃぁ~、悪かった」
リガードは昔を懐かしむように語り出す。
「もう何年前になるか。俺は新兵の教育係をしていて、ケビンはその新兵の一人だったんだ。
ケビンは代々騎士を輩出してきた名門クレイグ家の息子だけあって才能や戦闘技術はずば抜けてたが、なんせ臆病なやつで戦場ではいつも逃げ回ってたよ。
まぁ、俺が付きっきりでシゴキまくって根性を鍛え直してやったがな」
「へ~、今の隊長からは全っ然想像出来ないなぁ~」
レイドは尊敬する隊長の意外な過去を知り、驚くと共に誰にでも新人の時代があるんだと改めて思った。
「まぁ、やつも成長したってことだな。そうだ、今度ミルトの森での事を聞いてみな、あいつ絶対に慌てるぞ」
「うんっ、聞いてみるよ」
話が一段落したのを見計らいミレーネが立ち上がる。
「さぁ、もう夜も遅いんだから、そろそろカイルもミイナも寝な――」
ドォーンッ
彼女がカイルとミイナにそろそろ寝るように言いかけた時、壁が揺れる程のもの凄い轟音が鳴り響いた。
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