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「さてっと……」
しばらく2人が出ていった玄関を眺めていたミレーネはリビングの端まで歩いていく。
すると、おもむろにしゃがんで床の隅にあるくぼみに指をかけ、床板を持ち上げた。
そこには地下室につながる石造りの階段が。
「二人ともついてらっしゃい」
ミレーネはカイルとミイナに声をかけ、階段を降りていった。
カイルとミイナはお互いに顔を見合わせ、母に続いて急いで階段を降りていく。
ミレーネは地下室にあったカンテラに火を灯すと、地下室の壁に吊るした。
カンテラによって地下室が照らし出される。そこはいくつかの棚が設置され、倉庫になっていた。
「え~っと、どこに置いたんだったかしら?」
ミレーネは山積みとなった荷物に手を突っ込んで何かを探し始める。
――すると、しばらくして布にくるまれた長細いものを取り出した。
「母さん、それなに?」
カイルは母が取り出したものを指差す。
「これはお母さんが昔使ってた杖よ」
ミレーネが布を取り払うと、ところどころ金の装飾が施された白い柄に蒼い水晶玉が付いた杖が現れた。
「きれ~い」
「ふふっ、ありがと」
ミレーネはミイナに自身の杖が褒められたことに嬉しそうに笑う。
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