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暗く寒々とした雰囲気の広い神殿らしき場所に何人かの人影が見える。
しかし、その者達は明らかに人間ではない。なぜなら、その者達は異形の者だったからだ。
ここに居る者達には、人間には無い巨大な翼、角、尾等があり、禍々しい牙や爪を生やしている者も居る。
そして、一様に地獄の業火のような緋色の瞳を持っており、怪しげな光を放っているのだ。
「首尾はどうだ?」
その中でリーダーらしき異形の者が口を開いた。
「はっ、順調に進んでおります」
「そうか……。
ようやくだ、ようやくここまで来た……。
我らが主が憎き聖霊どもに封印されて500年、我らがどれだけ辛酸を嘗めて来たことか!
それももうすぐ終わる、我らが主はもうすぐ復活する!
そうなれば、手始めにグランネイドを支配し、デモンネイドを主の手にっ」
リーダーらしき異形の者は、毒々しい程に赤い液体のグラスを手に取ると、高々と掲げる。
すると、他の者達も同様にグラスを掲げていく。
「全ては、我らが主サタディーア様の為に!!」
「「「「「全ては、我らが主サタディーア様の為に!!」」」」」
全員、グラスの赤い液体を一気に飲み干した。
「フフフッ、フハハハハハ……」
リーダーらしき異形の者の顔は禍々しい笑顔に歪み、その瞳には業火のような紅い光りが揺らめいている。
闇の眷族は、水面下で動き出していた――。
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