269人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいですねぇ~、そのまだ諦めていない顔。
次はそちらの番です。我を楽しませる為に十分に時間をかけ作戦を練ってください。
そうでなければ……楽しめませんからねぇ~、くくくっ」
ヴェルディは怪しい笑みを浮かべた。
リガードとミレーネは警戒しながらレイドに駆け寄る。
「レイド、大丈夫か?」
「待ってて、今回復術をかけるから」
ミレーネはしゃがみ、レイドの腹部に手をかざした。
「風の聖霊よ、優しき風にて傷付きし者を包み癒したまえ、……ヒール・ウィンドッ」
ミレーネの手から淡い緑色の光が溢れ、みるみるレイドの傷が塞がっていく。
「ありがとう、母さん。……ぐっ」
レイドは立ち上がろうとして、目眩に襲われ膝をついた。
「傷は塞がったけど、流出してしまった血までは戻ってないから、無理しないで」
「レイド、お前は休んでいろ」
「……ごめん、父さん」
「何を謝ってるんだ、子供は黙って親の背中を見ていればいい」
「そうよ、私たちに任せてあなたは休んでなさい」
「父さん……母さん……」
「大丈夫だ、俺に任せておけ」
リガードは頼もしい笑顔でレイドの肩に手を置く。
リガードとミレーネはヴェルディとの距離を保ちつつ、レイドから離れた。
最初のコメントを投稿しよう!