Episode-0. プロローグ

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 レイドが目を開けると、辺りは砂煙に覆われていた。 「――っ!! 父さん! 母さん!」  リガードとミレーネが手を繋ぎ仰向けに倒れているのを見つけたレイドは、自分が貧血を起こしているのも忘れて躓きながらも2人に駆け寄る。  そして、2人の間に倒れ込むように滑り込み手を繋いでいる2人の手を握った。  すると、2人はうっすらと目を開ける。  が、既に2人の目には何も映ってはいないようだ……。 「うぅ……父さん……、ぐすっ……母さん」  レイドの顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。 「……泣、くな……」 「父さんっ」 「……もう……お…とな……でしょ」 「母さんっ」 「お前、達は……生……ろ……」 「カ……イル……ちを、よろ……し……」  2人はすっと目を閉じ、永遠の眠りについた。 「父さんっ、母さぁーん」  レイドの悲しみの咆哮が辺りに響き渡る。
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