Episode-0. プロローグ

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 ディアハルト家がある辺境の街レンブライトは、グランディア王国の北西部に位置し、街の北部には貴重な鉱石(レンブ岩)が採掘される鉱山がある自然豊かな田舎街である。  ――すっかり日が暮れ、レンブライトに普段と変わらぬ静かな夜が訪れている。  街の一番奥の青い屋根の家では、ディアハルト家の面々が久しぶりの一家団らんを楽しんでいた。 「「ごちそうさま~!」」  カイルとミイナの元気な声が響く。 「ごちそうさま、やっぱり母さんのビーフシチューは最高だね」  2人に続き、レイドの声が響いた。 「あらっ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。作った甲斐があるわ~」  青紫色の髪を腰まで伸ばした柔和な印象のエメラルド色の綺麗な瞳を持つ女性が嬉しそうに返事をする。  彼女は、カイル達の母ミレーネ・ディアハルトだ。 「はっはっはっ、そりゃぁ~俺が惚れた世界一の女性だからな」  次に口を開いたのは、ミレーネの隣に座る燃えるように赤い髪の男性だった。  彼はカイル達の父リガード・ディアハルトだ。  リガードは40代半ばとは思えないぐらいがっちりとした身体を持ち、その眼光は騎士だった頃の鋭さが今だに残っている。厳格さと優しさを併せ持つ良き父である。
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