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寝ているはずの彼女からは苦しそうな寝言が聞こえてきた。 “死にたい…” “私はお前の娘じゃない” などその内容は悲痛なものだった。 彼女は今までその胸に何を抱えていたのだろう? 寝ているはずなのに彼女は震えていた。 胸が痛んだ…… まだ、人生が何かさえ分からない歩き方も知らない彼女が苦しんでいる姿を見て 父性……と言うのだろうか?そんな要素が働いて1人の人間として守ってやりたくなった。 目を覚ました彼女は怯えた表情をした。一瞬出た彼女の素顔だったのだと思う。 でも、それはほんの一瞬のことですぐに捕らえ所のない飄々(ひょうひょう)とした彼女に戻った。 それが返って僕の胸を痛めた。 「何があった?」 そんな話をしていたのは彼女がこのマンションを訪れてから3日後のこと。 その間、彼女は苦しそうにでも眠り続けた。 「………。」 「お父さんが心配していたぞ。」 「電話…したの?」 「いや、本人に電話させるって断っておいたよ。」 「そう…」 「何か話があったんじゃなかったのか?お前が僕の所に来るなんて」 「別に…気が向いただけ。プリント見たら近くだったし」 「…そうか。大丈夫そうならもう家に帰れ。ずっとここにいるわけにも行かないだろう」 「………嫌。あの家にはもう帰らない」 「どうして?お前、寝言で“お前の娘じゃない”って言ってたが何かあったのか?」 「………なんでもない。気が向かないだけ。」 彼女に家に帰るよう促したが、訳を言いたがらないながらもそれを嫌がった。 以前から何か抱えているとは思っていたが、その訳を僕は感じ取ることができなかった。 結局、彼女に付き添い家まで送っていった。その後、彼女に待ち受けているものを知らずに…… 「どうもありがとうございます。娘がお世話になりまして」 「いえ。僕の生徒ですから」 カチャ… 「チョロいな。他の男の所に逃げ込んでどうゆうつもりだ?これは体に覚え込ませないといけないな…」 「離してっ!!やぁっ!!!」
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