幼い傷は癒えずして今に

7/9
前へ
/12ページ
次へ
ボクはそんな時計を見て思った。 家族は ボクを捨てる気なのかな… って。 けど、そんな哀しみを消し去るために…ボクは決意した。 「せんせっ先生っ」 「ん?どうしたの」 「あのね…おうち帰っていい?」 「えぇ…っと。お迎えまだ来てないから、もう少し待ってね。今お菓子もってきてあげるから…」 「帰るったら帰るのぉ―。おうち近いから平気だし」 「でもね、危ないから…」 一歩も退いてくれない先生にボクは顔をうつ向かせた。 けど、これはもちろん『負け』じゃない。 あえてスキを見せて、相手の情を買うっていう、ボクなりの作戦。 だから、こうしてる間のボクの頭の中は悪いボクでいっぱいなんだ。 .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加