幼い傷は癒えずして今に

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そうして、ボクが顔を上げ、口を開けた時だ。 「ごめんください。…すいません、遅くなってしまって」 という、おばあちゃんの声が背後を突いた。 「おばあちゃん遅いよ」 すねつつも、すぐに引っ付くのは子どもだからしょうがない。 「じゃあね、仁くん」 「バイバイ先生。また明日ね!」 とボクは若干振り返りながら手を振りかぶる。 そうやって手をブンブン振っているのは、黒ではなく白のボク。 黒になりきれなかったボクのことを良く思わなかったのだろう…悪魔は更にボクにイジわるなことを仕掛けてきた。 『迎えが遅れた理由』 それがそうだった。 .
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