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「なあに?今日はいつにもまして、つれないのねぇ。」
すい、とそらしていた顔を覗き込まれた。くりくりとした大きな瞳はどこか底知れなく、全てを見透かされそうで苦手だ。
「うるっせえなあ!別に機嫌が悪いだけだよ!」
だから、これ以上構うな。と、佳乃がそう吐き捨てると、おっかない、おっかないと、梅葉はぐずる子供をたしなめるように笑う。
これだけ凄んで見せても、この梅葉には、猫が毛を逆立てて威嚇している程度にしか見えないというのだから、長年の付き合いは恐ろしい。
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