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「やっぱり、サーティワンは最高ですね。」
アイスが大好きな彼女は、とても御満悦の様だ。
季節は11月。
こんな真冬で寒くても、外でアイスを食べるのなんて、へっちゃらなのである。
「ゆっき、雪ゆき~雪だるまっ♪」
即席で作った、雪だるまソングまで歌っている。
幸せそうにアイスを食べてると、前方から歩いて来た男性がぶつかって来た。
「きゃ……っ」
(あ………
アイスが………。)
ぶつかった衝撃で、アイスは丸ごと下に落ちてしまった。
(まだ、少ししか食べて無かったのにな…)
大好きなバナナ&ストロベリーまで到達出来ず、がっかりしてしまう。
「あ!すいません……」
大学生風の男性は、前を良く見てなかった様で、謝って来た。
「いえ…大丈夫ですよ。歩きながら食べてた私も悪いですから。」
顔を上げると、じろじろと眺めて来る男性。
恐らく、この服装のせいだろう。
ゴスロリや姫系が好きで、今日の服装はゴスロリだった。
腰までの長い髪に、全身黒でレースがほどされたロングコートには、猫耳のフード付きのケープ、首元には大きなリボン。
じろじろ見られるのは、もう慣れっこだった。
(でも…ちょっと見すぎじゃないですか?)
何となく居心地が悪い
。
「…失礼します。」
一瞥して、通り過ぎ様とすると「ちょっと待って!」と呼び止められた。
「……?」
何事かと横目で振り返ると、男性に手を掴まれる。
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