†初めての出逢い†

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静かで決して大きくないのに、凜とした透る声。 誰……? 顔を上げて、助けてくれた声の持ち主を見る。 小柄で細身。 少しだけ癖がある黒髪に、黒のフードが付いたジャンパー、眼鏡を掛けた男の子。 「何だぁ?このガキ…手ぇ放せよ!!」 いきなりの少年の登場に、一瞬面食らったものの、しつこいナンパ男は顔を少し赤らめながら声を荒げ、まくし立てる。 ……!! 母子家庭で育ち、男性の怒鳴り声に慣れていない智佳は、思わずびくつき、身体を縮ませてしまう。 少年は全く動じる事無く、まるで小さなゴミを見るかの様に少しだけ目を細めた。 「うっさいのぅ…怒鳴らんでも聞こえるわ。 このお姉さん、嫌がっとるやないか。 ナンパなら、他当たれ。」 右手は相手の男の手を掴んだまま、しっしっ、と左手で追い払う真似をする。 少年の冷静且つ、毅然さ。静かながら小馬鹿にした態度に相手は苛立ちを顕わにした。 「いきなり現れてやがって…ヒーロー気取りかぁ?!このチビ!!」 チビと言う単語が聞こえた途端、急に空気の色が変わった。 ………… 一瞬の沈黙。
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