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「………あぁ?今、何ぞ言ったか?」
低く、篭った声。
小さな声だったが、はっきりと聞こえた。
(な、何だ……こいつ。)
眠る獅子を起こしてしまったのかの様な、少年の変貌振りに、ナンパ男は一瞬怯んだ。
少年は、その隙を逃がさない。
男を掴んでた手を離し、左手で智佳の右手を掴むと身体を反転。
「くらえ!!」
瞬時に、近くにあった青いポリバケツ型の大きなゴミ箱を、ナンパ男に向かって思いっきり蹴飛ばした!
!!!!!!!
「うわぁあぁ!!」
ナンパ男は、勢い良く蹴り飛ばされたポリバケツ…ゴミ箱に命中し、頭からゴミを被って転倒。
唖然とする智佳と、それを見ていた通行人。
「今や!逃げるで!!」
「え…?きゃ………!!」
智佳の手を握ったまま、少年は素早く走り出す。
脱兎の如く、二人はその場から姿を消した。
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