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新雪がうっすらと積もるアスファルトの道路を、少年と智佳は走り続けた。
少年の足は速く、目まぐるしく景色が変わり、
白、赤、青、緑、黒、黄色……
街中の光だけが視界に飛び込む。
(…助けてくれた…)
周りが見て見ぬふりをする中、この人は手を差し延べて救ってくれた。
(何て勇気があって、優しい人……)
(でも、今は………走らなきゃ!!)
(彼、足早過ぎです~~~!)
違う意味でも、泣きそうであった。
とにかく必死に、足を動かす。
路地を曲がり、信号を渡り、ショッピングモールを通り抜け……200メートルほど移動しただろうか。
「きゃ……っ!!」
遂に少年の足に追い付けなくなり、足が地面に取られ、雪で隠れた白い路面に吸い込まれる様に転んでしまった。
「!?………っ!!」
手を繋いでいた少年も、手を引っ張られいきなりの反動に、一緒に転んでしまう。
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