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「う……」
痛さで、言葉にならない。
仕事で使う手を庇おうとして、胸と膝を強く打ってしまった。
(胸は女性の急所なので、か~な~り痛いです。。)
「……てぇ。」
少年も膝を打った様だが、反射神経が良いのか咄嗟に片手を付き、智佳の様に派手にすっ転んではいない。
斜め前から声が聞こえ、少年も巻き添えを食らわせてしまった事に気付き、智佳は慌てて顔を上げる。
「ご…ごめんなさい!!大丈夫ですか?」
何とか起き上がると、膝立ちの状態から、腰を上げて立ち上がった少年に駆け寄った。
「…俺はへーき。お姉さんこそ、大丈夫か?」
派手に転んだからか、逆に心配されてしまった。
うう…恥ずかしい上に、大変申し訳無い。
「だ、大丈夫です…。とんだ御迷惑をお掛けして……すみません。」
深々と、頭を下げる。
「何も迷惑なんて、掛けてないやん。そんな謝る事でもないやろ。」
謙遜する少年。
少し、照れてる様にも見える。
(私の方を気遣ってくれるなんて、本当に優しい人なんだな…)
そうだ、まだお礼も言っていない。
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