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「助けてくれて、ありがとうございます。」
智佳は顔をしっかり上げて、少年の瞳を見つめた。
この時初めて、ちゃんと正面から、彼の顔を見た気がする。
(小柄に見えたけれど、もしかしたら私より、結構年下かな…?)
しっかりした話し方と、シャープな目元、それに表情が余り大きく動かないせいか、大人びて見えたけれど…よくよく見て見ると、細い身体の線や、顔立ち、肌質から何となくそう感じる。
少年の年頃は15、16歳、といった所だろうか?
「いや、何も。大した事しとらんし。」
(たまたま、目に止まって、相手の男がしつこくて虫唾が走ったさかい、止めに入っただけやからな…)
「助けたって言うより、あいつにムカついただけ。」
気にしている智佳を安心させる為にか、少年は小さく笑った。
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