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野口は困りながら声をだすが紫式部に限っては私に一ミリの感謝も感じていないようで、そっけなく棒読みでそう言うと再び野口にくっつき財布へと逃げ込もうとする。
私は野口をつまみあげた。
「なんで私の貴重な三千円が喋る紙に変わっちゃったのかしら」
「だからそれをわしに言われてもなあ」
「ねえ、かーえーしーてー。わーたーしーのーひーでーくーんー」
「英君って呼ばれてんの? あんた。いい歳して恥ずかしくないの?」
「……嫉妬してんのか、お前」
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