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「なっ!」   思わぬ返答に私が閉口するとこれ好機にと野口は私を笑い飛ばす。 「はっはっはっ! いい乙女がいい歳して独身とは情けないのう。ほれ、わしでよければ紙貸すぞ? 涙拭け」 「泣いてないわ!」   私は掴んでいた野口をテーブルに叩きつけ、紫式部がそれをいそいそと財布へと運び入れる。 再び訪れた静寂を紛らわすため、私は再度ケータイに目をやった。   発信履歴にはまだ彼の名前があった。
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