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「もう間違えることはできませんよ」
不意に響いた男の声に、彼は少し驚いたが、余裕の笑みでこう返した。
「大丈夫だ、間違えようがないじゃないか」
そう言って赤の扉を開けた。
そこは――やはり壁だった。
「な…っ!どういうことだ?!」
振り向いた彼の目に映ったのは、自分に向かって振り下ろされた何か黒いもの――それがハンマーだと知る術は彼にはなかったが――だった。
「残念でしたね」
視界の片隅に捉えた男が言ったこの言葉が、彼が最期に聞いた言葉になった。
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