プロローグ

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少年の叫びによりとまった時間が動き出す 「おまっ…『知り合いのフリして自然にこの場から連れ出す作戦』が台無しだろー!合わせろよっ!」 「何でそんなメンドクサイ事しなきゃなんないのよ」 女の子は少年の嘆きを本当にメンドクサそうに一言で一蹴する 少年はそんな女の子にもっと何か言いたかったが そんな事をいう前に背中に感じる視線にハッと気づく 「なんだテメェ ナメたマネしやがってなンか文句でもあンのか?」 「あー、えーと」 少年は、はぁ…とため息をつきながら答える 「…しゃーねえなあ…ああ、そうだよ 恥ずかしくねーのかよお前ら」 「なんだと?」 「こんな大勢で女の子一人を囲んで情けねえ、大体おまえらが声かけた相手よく見てみろよ」 少年は親指で後ろにいる女の子を指さしながら 「まだ子供(ガキ)じゃねーか」 少年の指さしに釣られて女の子の方に目をやる 肩まである茶色い髪に 灰色のプリーツスカートに 半袖のブラウスに サマーセーター という格好の何の変哲もない中学生くらいの女の子だ 化粧は必要ない程度にデフォルトで整った顔立ちは確かに可愛いといえる だが、周りの不良や少年は高校生以上だろう もちろん俺も中学生は子供に見える まぁ少し前までは俺も中学生だったのだから 大して変わらないのかもしれないが… なんて考えながら女の子を見ていると 少年の「まだ子供じゃねーか」という言葉に反応してか女の子の様子が変わるのがわかった 「さっきの見ただろ!年上に敬意を払わないガサツな態度」 女の子の様子はどんどん変わる 「見た目はお嬢様でもまだ反抗期も抜けてねーじゃん」 ビキッビキッという音が聞こえてきた気がする ん?そういえばこの女の子の制服どこかでみたことあるような… 「よーコイツ砂にしちまうべ」 少年と不良の戦闘開始のゴングがなりかけていたところで一人の不良がようやく女の子の異変に気づく 「い、いや…ちょっと待て なンか様子が変…」 不良がなにか言いかけたが少年の言葉が被る 「おまえらみたいな群れなきゃガキも相手にできないようなヤツらはムカツクんだよっ!!」 少年が最後のスイッチを押したようだ 「私が一番ムカツクのは…」
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