組織

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監獄。 一閃、振り抜かれたナイフの先端から鮮血が飛び散る。 「次は左だぞ...?早く吐けば楽になるものを...愚かだな。」 クイーンは拷問官によって次々と切り付けられていく。 嗚咽が漏れるが、頑なに口を開こうとしない。 「チッ...このままじゃ死んじまうな..」 ぼそりと呟く拷問官。 拷問において、対象者が拷問中死亡するのが一番の懸念である。 生かさず殺さず、それでいて最大の苦痛を与える、それが拷問の鉄則なのである。 「感謝しろ...止血だ。」 そう言って取り出したのは小瓶に入った白い粉。 瓶には塩化ナトリウムと雑な字で書かれている。 そして拷問官は黄ばんだ歯を見せ、自分の指を軽く舐め、舐めた指を瓶に突っ込んだ。 「ほらよ。」 指に大量に付着した食塩をクイーンの傷口に摩り込んでいく。 「ぐっ....ッ...」 食塩の尖った粒子の一つ一つが患部をいたずらに刺激していく。 「やめ...」 「ふん、ガスバーナーで燃やされたほうがマシか?」 あまりに残酷な言葉を口にする拷問官の前で、クイーンは閉口する他なかった。 誰か... クイーンの切なる思いは、二人に通じるのであろうか。
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