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光沢のあるスーツを身につけ、手入れの行き届いた革靴を履く男が夜道を歩く。 閑散とした町並みには、妖しく光る電光が男を誘う。 多くの売春婦の働く風俗街だが、荒廃した様子が伺える。 酒を片手に酔い潰れている者や、道行く男を店へ勧誘する売春婦たちが目につくが、男は一向に構わない。 「ねぇ、お兄サン?よければこれからどう?」 一人の売春婦が、男に声をかけた。 断りもなく男の腕をとり、自慢なのであろう、豊満な乳房を露出の激しい服越しに押し付けてくる。 「生憎ですが、これから私用がありましてね。お相手できなくて申し訳ない。」 挑発的な勧誘に目もくれず、男は丁重に女の誘いを断ったが、女は未だ食い下がる。 「そんなこと言わないでさ?すぐ終わるから遊んでこうよ?なんならサービスしちゃうよ?」 「ふむ...ではこうしましょうか。」 おもむろに、男は女に提案を持ち掛けた。 女は勧誘がうまくいきそうなのを察し、心の中で歓喜の声をあげていた。
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