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炎の剣は唸りをあげながら少年に向かい最短距離を進んでいく。
少年は自分に迫る死の恐怖に足を震わせ、目を閉じている。
だがいつまでも経っても炎の剣が少年を貫く事は無かった。
その事を疑問に感じ、瞳を少しだけ瞼から覗かせた。
だが、その目は一瞬にして大きく見開かれた。
その目に映り込んでいたのは
少年を庇い、代わりに父親に炎の剣が刺さり胸を貫かれていた。
「あ……あぁ」
そんな父親の姿を見た少年の言葉にならない声。
父親は貫かれた部分から血がとめどなく流れ続けている。
父親は少年の方を向き
「俺と男同士の二つの約束を……してくれないか?」
掠れた声で少年に言った。
少年はさっきから涙を流し続けていたため顔がぐちゃぐちゃになっていた。
少年は鼻を啜りながら無言で頷いた。
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