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「女性に素足で地面を歩かせるなんて無粋な真似は出来ません」
終は涼しい顔でそう言い、お梅を引っ張り歩く。
終の隣で、お梅は不満そうに呟いた。
「…夜月はんも女の子やろ…」
お梅の呟きが聞こえたのか、終は驚いたようにお梅を見る。
「気付いていたんですか」
「うち、これでも勘はええんよ」
お梅が誇らしげに胸を張ると、終はフフッと笑った。
初めて会ったはずなのに、とても気が合う。
――…まるで、姉妹みたいや。
履物屋へと案内してくれる終を横目で見ながら、お梅は生まれて初めて『家族愛』のようなものが芽生えていた。
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