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「決まりましたか?」
お鶴との話を終えた終がお梅に訊ねると、お梅は二つの下駄の前で唸っていた。
一つは紅い鼻緒で、中央に小さな白い花がついている下駄。
もう一つは、桃色で花模様の鼻緒の下駄だ。
「どっちがええかなぁ…」
真剣な表情で悩むお梅。
結局、彼女は紅い鼻緒の下駄を買うことにした。
「おやおや、美人さんだねぇ」
お梅が下駄を手に取った時、奥から三十代後半くらいの女性が現れた。
「彼女がここの店主のお華さんですよ」
困惑するお梅に気付き、終がこっそり教えてくれる。
「はじめまして。あたしはお華。ちなみに種族は人間だよ」
「うちはお梅いいます。よろしゅう」
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