其ノ壱

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――文久三年、三月。 「困ったなぁ…」 「早く帰らないと、暗くなってしまいますね」 「総司、てめえが猫なんて追いかけるからこうなったんだろ!」 夕暮れ時、三人の男が京のはずれをさ迷っていた。 彼らは近藤勇、土方歳三、沖田総司。 江戸からやってきた浪士集団である。 とはいえ、元々彼らは正式な武士ではなかったのだが、色々あって壬生を拠点に浪士組として活動している。 京を散策した帰り道、彼らは迷ってしまったのだ。 「だって可愛い猫でしたから…。 それよりお腹空きましたねぇ~」 「そうだなぁ…」 そんな時、どこからともなく何とも旨そうな匂いが漂ってきた。                
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