其ノ壱

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「何処かにお店があるんでしょうかね?」 そう言ってキョロキョロと辺りを見回す沖田だが、それらしい店は何処にも無い。 それどころか、周りには樹や茂みばかりで建物すら存在しない。 少し考え込んだ沖田は、おもむろに茂みに顔を突っ込んだ。 「何してんだ総司?」 土方が沖田に訊ねる。 「二人ともちょっと見てくださいっ!これは…」 慌てた様子で沖田が近藤と土方を手招きする。 何事かと二人も茂みに顔を突っ込み、中を覗いて――…。 「「……な………っ!!?」」 二人は唖然とした。 無理もないだろう。 茂みの向こうには、町があったのだから。                
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