G♭の猫

2/2
前へ
/6ページ
次へ
      from  Saty cat's point of view それはフィヨルドの香り 透明な箱に閉じ込めた海と空を 黒猫は耳元でささやいた その瞳は哀しみを写しとり 今も私をまっすぐに見る      私が  逃げるように向かった先 ここには宇宙の果ての静けさ 弾けもしないピアノに指をあてて 弾けもせずに呆然としていた 知る由もないあなたの哀しみと 得る術もない私自身の安らぎ まるで現実味の欠落した 夢をみるような言葉達が 私を眠らせる 今も 私は薄明かりの泥の中で 私の目は何も見ていないのだ 救い難きナアシシズム 私は 可哀相な自分ばかりが いとおしいのだ 私は 私は 私などは 私ごときは G♭の猫がみえない       from  Saty cat's point of view 君に私はみえなくなった  
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加