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名前も同様である。
じきに春江は、春江という名を失うのである。
春江は、周りを見渡したが、二十畳程の部屋の中に誰もいなかった。
それどころか、物一つなかった。
埃っぽいこの部屋は何のためにあるのか皆目見当がつかなかった。
ここは本当に地獄なのだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
春江にとって地獄とは、針山地獄や血の池地獄など、鬼が罪人を虐めるというイメージがあった。
しかし、目の前にある光景は、そのイメージからかけ離れている物だったからである。
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