プロローグ

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「元自殺対策課参事、龍神、ベリー・コロン、入り給え」 涼しくとも突き刺さるような、何とも不思議な声が耳に届いたかと思うまもなく、目の前の扉がゆっくりと開いていった。 ラファエルの執務室は、四十畳程の広さで、壁一面が書棚になっていた。 しかし、書棚といっても、収められているのはCDのような円形のディスクであった。 正面には、木製の格調高い彫刻が施されている机があり、そこにラファエルが腰掛けていた。ラファエルは、立つと2メートルを超そうかというような長身であり、髪もまた、肩に掛かる程の長さだった。 色は銀で、部屋を照らす光を美しく反射していた。 その表情は一見無表情に思える程のものだったが、その瞳は全てのものを見通してしまうかのような鋭さがあった。
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