第1章「地獄の洗礼」

14/47
前へ
/1646ページ
次へ
「検察官だが何だから知らねーけどよ。偉そうにするんじゃ……」 最後まで言葉を発せられなかったのは、男の頭が急に爆発したからである。 「私語を慎み給え。ここでは立場をわきまえることが、余計な苦を受けずに生きていくことにつながると心得よ」 ダニーの手には、三十センチ程の木の棒、つまりワンドが持たれていた。 ワンドが振りかざす先には山賊風の男がいた。 山賊風の男の頭を爆発させたのはダニーであることは誰の目にも明らかだった。 この瞬間、緩んでいた緊張が一気に引き締まり、ざわつきがピタリと止み、辺りは静寂に包まれた。皆無言でダニーの一挙一動に注目している。
/1646ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加