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それより凛の所に行かないと。
俺は足早に昇降口に向かうと、まだ幼さが残る金髪の美少女がそこにはいた。……というより、俺の妹だった。
凛は俺の足音が聞こえたのか、こっちへ振り向いた。
その姿があまりにも可愛くてつい見蕩れていると、
「遅い! あたしを呼び出しておいて遅刻なんて何様のつもり」
俺の前まで怒りながら凛が来た。
「え? 何様って凛の兄ちゃんのつもり」
「な──っ! そんな真顔で言われたら言い返せないじゃん……」
凛は俺の隣につくと、俺の制服の袖を掴んで、
「言われた通り来てあげたんだから、ちゃんと案内してよね」
頬を紅潮させながら少し俯きがちに言ってきた。
なんだかんだ言って凛のやつ、やっぱり見学に行きたかったんだな。
うんうん。素直なのはいいことだ。
「そんなに楽しみだったのか」
「か、勘違いしないでよね! 別に奏と一緒に行くのが楽しみだったわけじゃないんだから」
さらに顔を赤らめて怒ってきた。
「俺は見学に行くのが楽しみだったのかって訊いただけで、俺と一緒に行くのが楽しみなのかなんて訊いてないぞ」
「────!?」
茹でタコの様な真っ赤な顔をして俯いてしまった。
それから俺達は運動系、文化系と一通り部活を見て廻った。
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